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多段式圧造機の選び方:技術仕様ガイド

多段式圧造機を仕様決定するための実践ガイド — ワイヤー径、部品形状、材料、生産速度、シリーズ選択。

June 2025 3 分 読了

はじめに

多段式圧造機の選定は、設備投資の規模と生産能力に長期的な影響を与える重要な意思決定である。適切な機種を選定することで、目標生産量を達成しつつ工具費・エネルギー費・メンテナンス費を最小化できる。逆に機種選定を誤ると、能力不足による生産ボトルネック、または過剰な設備投資コストを招く。

本ガイドでは、Manzoniシリーズを例に、多段式圧造機の仕様決定に必要な主要パラメータを順を追って解説する。

ステップ1:ワイヤー径による機種絞り込み

機種選定の最初のステップは、対象部品のワイヤー径(ブランク径)の確認である。多段式圧造機の対応ワイヤー径は機械の設計を根本的に規定するパラメータであり、範囲外の径には対応できない。

Manzoniシリーズのワイヤー径対応表

シリーズ最小ワイヤー径最大ワイヤー径最大生産速度主な対象部品
MA1.0 mm8 mm370 個/分M1〜M6ボルト、精密ピン、電子部品用ファスナー
MB3.0 mm11 mm280 個/分M3〜M10ボルト・スタッド、中型リベット
MC5.0 mm20 mm160 個/分M5〜M18ボルト、自動車用中型ファスナー
ME10 mm33 mm110 個/分M10〜M30ボルト、重工業用ファスナー
MF16 mm42 mm90 個/分M16〜M42ボルト、エネルギー・航空宇宙用特大ファスナー

製造する部品のワイヤー径が明確であれば、上表から対応シリーズを絞り込める。複数の径の部品を1台の機械で製造する場合は、最大径で機種を決定するが、最小径と最大径の差が大きい場合は工具互換性の観点からもManzoni技術チームに相談することが推奨される。

ステップ2:部品形状の複雑さの評価

ワイヤー径が同じでも、部品形状の複雑さによって必要なステーション数と機械能力が変わる。

形状複雑さの評価基準

シンプル(2〜3ステーション)

  • 頭部なしの段付きピン
  • 単純な頭部(丸頭、平頭)を持つリベット
  • ストレートシャンクの平頭ボルト

中程度(3〜4ステーション)

  • 六角頭ボルト
  • フランジ頭ボルト
  • 標準的なキャップスクリュー

複雑(5〜6ステーション)

  • 六角穴付きキャップボルト(頭部成形+後方押出しでの穴加工)
  • ドリルスクリュー(先端のドリル形状成形を含む)
  • 多段径差の大きいスタッドボルト
  • 特殊ドライブ形状(トルクス、スプライン等)

Manzoni多段式圧造機はすべて5〜6ステーション構成を持ち、複雑形状部品にも対応できる。ただし極めて複雑な形状では、追加の工具ステーションやトランスファー工程が必要となる場合があり、アプリケーションエンジニアによる事前検討が重要である。

ステップ3:材料と必要トン数の評価

材料種は必要な圧造トン数に直接影響する。同じワイヤー径でも、材料が異なると必要なトン数は大きく変わる。

材料別の流動応力と機種適合性の目安

材料流動応力(目安)推奨アプローチ
低炭素鋼(SAE 1008〜1022)低い冷間成形 — すべてのシリーズ
中炭素鋼(SAE 1035〜1045)中程度冷間成形(軟化焼鈍後)
合金鋼(SCM435/440等)高め冷間成形(軟化焼鈍後)または温間成形
SUS304/316中〜高(加工硬化大)冷間成形 — 十分なトン数余裕が必要
チタン合金 Ti-6Al-4V非常に高い温間成形 — MC/ME/MF
Inconel 718極めて高い温間成形 — ME/MF

材料の流動応力が高い場合、同じ形状の部品でも必要なトン数が増大する。選定した機種のトン数が全ステーションの成形力合計をカバーしているか確認が必要である。確認方法については「圧造トン数」の項目を参照のこと。

ステップ4:必要生産速度の算出

年間生産量と機械の稼働計画から、必要な生産速度(個/分)を逆算する。

生産速度算出の例

  • 年間必要生産数: 1,000万個
  • 年間稼働日数: 250日
  • 1日2シフト稼働(有効稼働時間: 14時間/日)
  • 段取り替えや計画停止を考慮した稼働率: 85%

必要な生産速度 = 10,000,000 ÷ (250日 × 14時間/日 × 60分/時間 × 0.85) = 10,000,000 ÷ 178,500 ≒ 56 個/分

この場合、対象部品径が11mm以下であればMAまたはMBシリーズ(最大280〜370個/分)で十分な余裕がある。

実際の生産速度は、ワイヤー径・材料・部品形状・工具条件によって変動するため、カタログ最大値に対して20〜30%の余裕を持つ機種を選定することが推奨される。

ステップ5:温間成形の必要性の判断

製造する部品にチタン合金・ニッケル超合金・高合金鋼が含まれる場合、温間成形オプションの必要性を評価する。

温間成形オプションはManzoni MCシリーズ以上に設定可能である。温間成形対応機種には誘導加熱ユニット、耐熱工具仕様、温度監視システムが追加される。これらの追加装備による初期コスト増加と、高付加価値材料部品の受注可能性拡大を天秤にかけて判断する。

Manzoniシリーズ総合比較表

仕様MAMBMCMEMF
最大ワイヤー径8 mm11 mm20 mm33 mm42 mm
最大生産速度370 個/分280 個/分160 個/分110 個/分90 個/分
ステーション数5〜65〜65〜65〜65〜6
温間成形オプション対応対応対応
Absolute Zero Clearance®標準標準標準標準標準
Read, Set & Go®標準標準標準標準標準
主要産業電子・精密一般ファスナー自動車・一般重工業航空宇宙・エネルギー

最終チェックリスト

機種を選定する前に以下の項目を確認する。

  • 対象全部品のワイヤー径が選定機種の対応範囲内に収まっているか
  • 最も複雑な部品が必要なステーション数で成形可能か
  • 最高流動応力の材料に対して十分なトン数があるか
  • 計画稼働率での必要生産速度をカバーできるか(余裕20〜30%)
  • 高強度材料が含まれる場合、温間成形オプションを検討したか
  • 段取り替え頻度が高い場合、Read, Set & Go®の活用計画があるか
  • 将来的な品種追加・径変更の可能性を考慮した余裕能力があるか

Manzoniへの相談

機種選定に不確実性がある場合、Manzoniのアプリケーションエンジニアが部品図面・材料仕様・生産計画を基に、プロセスシミュレーションを含む無料の技術相談を提供している。適切な機種選定は長期的な投資効率を大きく左右するため、決定前の技術相談を強く推奨する。

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