圧造トン数とは
圧造トン数(ヘッディングトン数)は、多段式圧造機が1ストロークで発生できる最大成形力をトン(kN)で表したパラメータである。機械選定において最も基本的な仕様の一つであり、処理可能な材料種・ワイヤー径・部品形状の複雑さを直接決定する。
圧造トン数が不足すると、機械はフルストロークに達せず、部品が未成形のまま排出される。逆に、必要な成形力に対して過大なトン数の機械を使用しても、機械的な問題はないが設備コストが過大となる。適切な機械選定には、必要な成形力を正確に見積もることが重要である。
成形力に影響する要因
必要な圧造トン数は、以下の要因によって決まる。
材料の流動応力
流動応力は材料の変形抵抗であり、材料が塑性変形するために必要な応力である。同一の形状を成形する場合でも:
- 低炭素鋼(SAE 1008/1010): 流動応力が低く、比較的小さなトン数で成形可能
- 中炭素鋼・合金鋼(SAE 4140等): 流動応力が高く、より大きなトン数が必要
- ステンレス鋼(SUS304等): 加工硬化率が高く、成形途中でも流動応力が上昇する
- チタン合金: 非常に高い流動応力。温間成形または冷間成形でも大きなトン数が必要
- ニッケル超合金: 最も高い流動応力を持つ。通常は温間成形が不可欠
ブランク断面積
成形力は一般に加工断面積に比例する。ワイヤー径が増加すると、断面積は径の2乗で増加するため、成形力も急激に増大する。径を2倍にすると断面積は4倍となり、必要なトン数もほぼ4倍になる。
成形の種類とリダクション率
- 据え込み: 変形量が大きく、成形力も大きい。特に大径頭部の成形には高トン数が必要。
- 前方押出し: リダクション率が高いほど成形力が増大する。
- 後方押出し: 深いキャビティの成形には高い成形力が必要。
摩擦
ダイとブランク界面の摩擦は成形力を増大させる。適切な潤滑(リン酸塩処理・石鹸潤滑、または液体潤滑)が、必要トン数の削減と工具寿命の延長に有効である。
Manzoniシリーズの圧造トン数
| シリーズ | 最大ワイヤー径 | 圧造トン数(目安) | 主な材料対応 |
|---|---|---|---|
| MA | 8 mm | 〜100 t | 低・中炭素鋼、ステンレス鋼 |
| MB | 11 mm | 〜180 t | 低・中炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼 |
| MC | 20 mm | 〜350 t | 合金鋼、ステンレス鋼、温間チタン |
| ME | 33 mm | 〜550 t | 高合金鋼、温間超合金 |
| MF | 42 mm | 〜700 t | 特殊合金、温間成形全般 |
※実際のトン数は機械の具体的な構成と成形工程によって異なる。詳細はManzoni技術部門に確認すること。
圧造トン数と機械選定
機械選定における圧造トン数の見積もり手順は以下の通りである。
- 部品形状分析: 各ステーションで必要な成形操作(据え込み、前方押出し、後方押出し)を特定する。
- 最大成形力ステーションの特定: 通常、最大径の据え込みステーションが最大成形力を要求する。
- 計算または経験値による見積もり: 流動応力×断面積×形状係数で近似値を算出する。
- 安全率の適用: 通常、計算値の1.2〜1.5倍の余裕を持つ機械を選定する。
- 温間成形の考慮: 温間成形を採用する場合、流動応力が低下するため、より小型の機械で対応できる場合がある。
圧造トン数の見積もりに不確実性がある場合、Manzoniのアプリケーションエンジニアによるプロセスシミュレーションを活用することが推奨される。