冷間成形Wiki
プロセス

据え込み(アップセット)

据え込みは、ブランクの軸方向長さを短縮しながら径を増大させる冷間成形工程であり、ボルト・ピン・リベットの頭部成形に用いられる基本的な手法である。

据え込みとは

据え込み(アップセット、ヘッディングとも呼ばれる)は、冷間成形の三基本操作の中でも最も歴史が古く、最も広く使用される工程である。ブランクの一端または中間部分をパンチとダイで軸方向に圧縮することで、その部分の長さを短縮し、径を増大させる。

Upset (Heading) — Cross-Section

PUNCH DIE (shank bore) die face free length L d D > d
1One-piece blank: shank constrained inside die bore, free length L protrudes at left
2Punch strikes the free end — compressive force along the wire axis
3The same material upsets radially: head diameter D > wire d. Shank and head are one continuous piece — no joint, no weld

ボルトやリベットの頭部形成がその典型的な用途である。プレスが「ヘッダー」と呼ばれるのも、この据え込みによる頭部成形(ヘッディング)が機械の主要機能だったことに由来する。

据え込みの原理

据え込みの動作は単純明快である。

  1. 所定の長さに切断したブランクをダイにセットする。
  2. パンチが前進し、ブランクの突き出し部(自由端部)を軸方向に圧縮する。
  3. 圧縮された材料は径方向に流れ、ダイキャビティの形状に従って頭部を形成する。
  4. ストローク完了後、パンチが後退し、エジェクターが成形品をダイから押し出す。

成形される形状はダイキャビティとパンチ端面の形状によって決まる。円形頭部、六角頭部、フランジ頭部など、様々な頭部形状が同一の基本操作で形成できる。

据え込み比と多段据え込み

据え込み工程において最も重要なパラメータは据え込み比(アップセット比)である。据え込み比は「自由突き出し長さ÷ブランク径」で定義される。

  • 据え込み比 ≦ 2.5: 一段据え込みで安全に成形可能
  • 据え込み比 2.5〜4.5: 二段据え込みが推奨される
  • 据え込み比 4.5以上: 三段以上の多段据え込みが必要

据え込み比が大きすぎる(突き出し長さが長すぎる)と、ブランクが座屈して材料が曲がったり割れたりする。多段式圧造機は複数のステーションを持つため、この多段据え込みを1サイクル内で実現できる。最初のステーションで粗成形(コイニング予備成形)を行い、続くステーションで最終形状に仕上げる。

用途と対応部品形状

用途代表的な部品
六角頭ボルト頭部M3〜M42六角ボルト全般
フランジボルト頭部フランジナット、フランジボルト
リベット頭部鍛造リベット、カシメリベット
ピン端部フランジクレビスピン、スプリングピン
皿頭ネジ頭部皿ネジ、皿頭キャップスクリュー
特殊ヘッド航空宇宙用特殊ファスナーヘッド

成形力(トン数)

据え込みに必要な成形力は、材料の変形抵抗(流動応力)、据え込み比、摩擦係数、頭部形状によって変化する。同一材料であっても、据え込み比が大きいほど、また頭部径が大きいほど必要なトン数は増加する。

Manzoni多段式圧造機の各シリーズは、対応ワイヤー径の最大断面の据え込みに十分なトン数を持つよう設計されている。据え込みトン数に関する詳細は「圧造トン数」の項目を参照。

据え込みと他工程の組み合わせ

実際のファスナー製造では、据え込みは単独ではなく、前方押出しや後方押出しと組み合わされる。典型的な六角穴付きボルトの製造では:

  1. 第1ステーション: 粗据え込み(頭部素材の予備形成)
  2. 第2ステーション: 本据え込み(頭部の外形成形)
  3. 第3ステーション: 後方押出し(六角穴の成形)
  4. 第4ステーション: 前方押出し(シャンク径の調整)
  5. 第5〜6ステーション: 最終形状の仕上げ

このように据え込みは、多段式圧造機における成形工程の起点となる最重要操作である。Manzoni機械のAbsolute Zero Clearance®ベアリング技術は、高速据え込み時のラム側方変位を最小化し、偏芯頭部や寸法ばらつきを防止する。

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